食を面白く学ぶたべものラジオ(たべものRADIO) 兄:武藤太郎  / 弟:武藤拓郎 (Part.2)


食を面白く学ぶたべものラジオ(たべものRADIO)

このラジオは少し変わった経歴の料理人兄弟がたべものの知られざる世界をちょっと変わった視点から学んでいく食のエンタメラジオ番組です。

2021.7~【毎週火曜・金曜更新】

《話す人》 兄:武藤太郎  / 弟:武藤拓郎

《店》:掛茶料理むとう


オガワブンゴ
オガワブンゴ

普段どのような環境で収録されてますか?

武藤拓郎
武藤拓郎

普段はミキサーを介して、マイクとヘッドホンをして、それぞれ対面でちょっと距離を離しながら喋ってます。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

場所はどちらで?

武藤拓郎
武藤拓郎

事務所です。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

事務所で収録する時に、気をつけていることはありますか?

武藤拓郎
武藤拓郎

距離を離すところですね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

距離っていうのは二人の距離っていうことですね。

武藤拓郎
武藤拓郎

そうです。真向かいにならないようにしたりとか、二人とも壁を背負ってるので、どうしてもお互いの声が反響してマイクが拾ったりすることがあるので、そこは避けてます。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

あと何か音を録る上で気をつけていることってありますか?

武藤拓郎
武藤拓郎

音を録る上では、事務所に電話があるので、電話が鳴った時は話をやめるといった基本的なところですね。あとは、外で人の声がする場合はやっぱり一時中断します。道路に面している事務所なので普段は車の音とかでうるさいんですけど、車の音は消せますが人の声はどうしても消せないので、人の声がした時だけは中断しています。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

周りの音とかを気をつけながら、基本的なことをされている感じなんですね?

武藤拓郎
武藤拓郎

そうです。

武藤太郎
武藤太郎

機材ではないんですけど、喋り方は番組の途中からあえて変えてます。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

それは太郎さんの得意分野(笑)。

武藤太郎
武藤太郎

実はですね、オガワさんも思ってるかもしれないですが、兄弟なので音声にするとどっちの声だか分からなくなるんですね。実際に僕らも録った音源を聴いて今のはどっちだ?って、自分たちでもわかんなくなるんですよ。

武藤拓郎
武藤拓郎

それはある(笑)。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

なるほど(笑)。

武藤太郎
武藤太郎

なので、僕は割と声のキーを上げて、ちょっと早くアクセントを強く喋るようにしています。どのあたりからかちょっと覚えてないけど、途中ぐらいから僕は全て敬語に切り替えました。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

そういったところで色分けしているんですね。

武藤太郎
武藤太郎

途中でリスナーさんに「わからん」って言われました(笑)。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

それは男兄弟あるあるですね。

武藤太郎
武藤太郎

そうですよね。

武藤拓郎
武藤拓郎

電話だとどっちかわからないって言われるんです。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

そういうことありますね。ちなみに収録ではマイクやミキサーなど、どのような機材を使ってますか?

武藤拓郎
武藤拓郎

一番安いマイクを使ってまして、CLASSIC PROのダイナミックマイクです。ケーブルもCLASSIC PROを使って、防風(ポップガード)も同じですね。ミキサーはZOOM LiveTrak L-8を使ってます。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

LiveTrak L-8は良いですよね。僕も持ってます。

武藤拓郎
武藤拓郎

やっぱそうなんですね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

僕はZOOM H6をメインで使っていて、LiveTrak L-8は電話に繋げて収録できるんですよね。あの機能がすごく欲しいタイミングがあって、それで購入しました。

LiveTrak L-8はシンプルで使いやすいですよね。

武藤拓郎
武藤拓郎

LiveTrak L-8はサイズも使いやすいですね。レコーディング機能とかも基本使いやすくて、ヘッドホンジャックが4つあるのがかなり良かったです。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

持ち歩きもできますしね。

武藤拓郎
武藤拓郎

LiveTrakモバイルバッテリーで動くっていうのがミラクルで。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

高専卒の方も思うミラクル(笑)。

武藤拓郎
武藤拓郎

僕はバンドとか好きでずっとバンドをやっていて、結局音響機材の方に興味がいってしまったんです。いろんな機材を試したりして、LiveTrak L-8だけは、このコンパクトさっていう驚きと軽さとレコーディングの手軽さ。何か宣伝みたいになってますが(笑)。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

わかります、その気持ち。

武藤拓郎
武藤拓郎

音声録音をしようと思った時に、こんなに手軽な機材はなかなか無いなと思ってます。これを見つけた瞬間はラッキーだと思いました。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

マイクは、CLASSIC PROを選んだのは、価格的に一番安いからですかね。

武藤拓郎
武藤拓郎

マイクって上を見るとキリがないですよね。Podcastって結局音質をちょっと下げるじゃないですか。なので、これで良いかなって。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

あと聴かれる方の環境にも左右されてしまいますからね。

武藤拓郎
武藤拓郎

そうですね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

なるほど。もちろん編集もされてるとは思うんですけど、編集ソフトは何を使われてるんですか?

武藤拓郎
武藤拓郎

Adobe Auditionを使ってます。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

僕もです。

武藤拓郎
武藤拓郎

ちょっと使いづらいところもあるんですけど、イコライザーとかノイズ除去とかが優秀で、ちょっと離れられないかなって。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

僕はホワイトノイズをどうしたら手軽にできるのかなということで、iZotope RX8というソフトを見つけて、これが結構一発シリーズで。例えばリップノイズも一発でポンって消えてくれる、ある程度消えるという言い方が正しいのかな。RX 8 Standardという真ん中のランクのものを使ってますが結構おすすめです。

武藤拓郎
武藤拓郎

僕がAdobe DreamweaverやIllustrator、PhotoshopやPremiereを普段から使っていて、クリエイティブのコンプリートプランを使っているので、Auditionは前から触ってました。Premiereとかはもう10年ぐらい使っているので、使い慣れているところが大きかったですね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

便利だしわかりやすいですしね。

武藤拓郎
武藤拓郎

わかりやすいですね。ただリップル削除がないのはちょっとなって(笑)。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

だからちょっと足りないんですよね。

武藤拓郎
武藤拓郎

間を詰めるときの大変さはすごいですね。順番に編集する分には全然いいんですけど、まとめて終わった後にここをちょっと詰めたいなという時は、パソコンのスペック勝負になりますね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

すごく気持ちがわかります。

武藤拓郎
武藤拓郎

大変なんですよね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

この番組の台本っていうのはあったりするんですか?

武藤太郎
武藤太郎

あります。読んではないですが、書籍や参考文献等で調べたものを雑な論文のようにざっと書いて、書き出したものを教科書にして、手書きでイラストじゃないですけど簡単なものにまとめて、それを見ながら喋ってるという感じです。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

メモとはまたちょっと違いそうですね、もうしっかり調べられてるっていう感じで。

武藤太郎
武藤太郎

僕の中ではメモに近いつもりではいるんですけど、きっちり読んでいるという感じではないです。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

ある程度キーになるポイントやあらすじを太郎さんなりに作っておくと。

武藤太郎
武藤太郎

そうですね。あと、弟がびっくりするぐらいの歴史弱者でして、何かのときに加藤清正というキーワードを出したら誰それって言われてしまって。そこからなのかというのもあり、一度何か紙で見せないと会話が進まないなっていう(笑)。

武藤拓郎
武藤拓郎

漢字が思い付かないんです(笑)。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

なるほど(笑)。

武藤拓郎
武藤拓郎

漢字こういう字だよと言われても、僕はそもそも漢字も疎いんで。

武藤太郎
武藤太郎

大航海時代がわからなかったもんね。

武藤拓郎
武藤拓郎

大航海時代ってワンピース!?とか言ってました。

武藤太郎
武藤太郎

これ、ちょっと見えますかね?。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

なるほど!マインドマップ的な感じでやってるんですね。すごい。今リスナーの皆さんはさっぱりわからないと思うんですけど、太郎さんの台本を拝見してますが、すごく丁寧に書かれていて。勉強になりますね。

武藤太郎
武藤太郎

これを1話ごとに毎回。論文を書いた後に、これに学生がノートにまとめるように書くので、大分手間がかかってます(笑)。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

かかってますよね。ざっくり時間で言うとどのくらいかけて作られてるんですか?

武藤太郎
武藤太郎

どうでしょう、お茶のシリーズで文字数4万文字強ですかね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

すごい。だって週2回配信ですよね。

武藤太郎
武藤太郎

はい。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

しかも、普段はお料理を作られてる。

武藤太郎
武藤太郎

やってます。はい。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

すごいですね。

武藤太郎
武藤太郎

なので、現時点で次のシリーズはもう泣きそうです(笑)。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

勉強になります、ありがとうございます。「食を面白く学ぶたべものラジオ」を始めて何かわかったことや気づいたことはありますか?

武藤太郎
武藤太郎

一番感じたのは可能性の高さ、広さですね。一つにはPodcastというインターネットメディア媒体で配信することの可能性の高さ。これはもうほとんどのPodcasterの方々がそうだなって感じてらっしゃると思いますけど、もう一つは、僕は食べ物についてまだまだポテンシャルがあるなというところです。お茶が最近また細分化してますけど、お茶業界としては相当苦しんでいるので、僕も行政と関わってイベントをやったりしてますが、自分で改めて勉強してみると、コーヒー文化を駆逐した実績を持ってるのがお茶であったりとか。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

へえ、そうなんですね。

武藤太郎
武藤太郎

今でも信じられないと思いますけど、アメリカってコーヒーの国ではなかったんですよね。全員紅茶を飲んでいたっていうのもありますし、イギリスは実は元々コーヒー文化の国だったんですって。ここに紅茶が辿り着いたお茶が、全部コーヒー文化を駆逐していくっていう。なので、食のポテンシャルってまだまだあるなっていうのを僕自身が勉強して感じているのと、リスナーの方からコメントいただくと、先ほどオガワさんが仰っていたように、何か味噌汁って意外と面白いしすごいなとか、そういう感想があるので、1個1個を丁寧に見ていくともっともっと食を楽しめるから、結果、それが1日に3回あるんだったら、人生もちょっと楽しくなるんじゃなかろうかということを、何か改めてリスナーの方に言っていただくことで、再認識するみたいなところはありますね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

拓郎さんはいかがですか。

武藤拓郎
武藤拓郎

僕は単純に映像なしって楽だなと。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

それ重要ですよね。

武藤拓郎
武藤拓郎

そうなんですよ。編集において面白さを音声だけに集中できるっていうところ、そこにだけに注力できるというのは、限られた時間の中で作るにはすごく楽ですね。

武藤拓郎
武藤拓郎

映像だと切れないところっていっぱいあるので、撮影時がかなり重要になるんですけど、音声って音さえちゃんと録れていれば、あとはどうとでもなる。言葉が離れていても結局繋げたりしても違和感がないので、聴いてくれている方にも無駄な時間を使わせない。逆に間をもたせてもっと延ばしたりとか、考えてもらう時間を作ったりとか。どっちもできるというのがすごく面白いなって思います。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

本当にそうですよね。映像見るのは楽しいんですけど、作るとなると話は別ですよね。

武藤拓郎
武藤拓郎

そうなんです。映像クリエイターの方を尊敬します。作るのは好きなんですけど、あのクオリティでって言われたら多分無理ですね。そこまで頑張れないと思います。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

太郎さんの気づいたことの部分に可能性ということもありましたけど、あらためて太郎さんと拓郎さんがPodcastに感じる可能性があれば教えてください。

武藤太郎
武藤太郎

聴く人によるのかとは思いますけど、YouTubeと違ってあえて映像という情報を無くすということが、僕はいちリスナーとしてこんなにすごいことなんだ、という感覚があるんですね。それこそ「MOOKSTUDY日本の歴史」を拝聴していても、あれは映像で見ずに音だけだから頭にイメージが広がって学びになっている部分があるんだろうなと思っているので、昨今ずっとYouTubeといった動画が流行りですけど、もう少し伝える情報の内容によっては音だけにする、逆に音だけ消して映像というパターンがあるのかは分かりませんが、人間って制限することで、より響くものがあるんだろうなっていうのが、直感的に今感じているところです。みんなもっとPodcastをやったら良いのにと思いますね。僕らも新参者なので偉そうに言えないですけど。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

拓郎さんはいかがですか。

武藤拓郎
武藤拓郎

本を読むと同じような感覚なんですかね。映像って結構、エンターテインメントとしてバラエティーに寄りがちなんですけど、音声って学習もいけるしバラエティーもいけるという具合に幅広くて、しかも想像力をかきたててくれる。本好きの人がいるのと同じで、ラジオ好きという人もやっぱりいる。そこをPodcastというネット配信で世界にいる日本人に、基本、日本人の方が聴かれていると思うんですけど、海外にいるからこそ日本の面白さを聴きたい、という人もやっぱりいらっしゃると思うんです。

特にうちみたいな日本食を交えた歴史なんていうのはなかなか無いので、そういうところでPodcastってマニアックだけど、ジャンルの懐の深さというか、そういったところはこれからもずっと続くんだろうなと、無くならないんだろうなと思ってます。本と一緒で文字を読む人がいなくならないのと一緒で、ラジオを聴く人はいなくならないという感覚です。

武藤太郎
武藤太郎

今ふと思い出したのが、能の世阿弥が書いた本で名所語りという技法があるんですね。僕も読んだだけなんですけど、主人公がどこかの村に来ましたという設定の時に、ある老人にあの山は名所ですかっていうふうに言って、翁がいろんな名所を言葉だけで伝えていって背景が変わらない。

これをやることで、観客の中にスクリーンを返さずに、自分の脳というスクリーンに画を書かせることで舞台をどんどん変化させる、っていうのが世阿弥の編み出した名所語りっていう能の表現手法なんだそうです。

何か僕らのやってるPodcast、僕らというかPodcasterの皆さんがやっている言葉だけで伝えるということは、もしかしたらそれに当たるものなのかなっていうのを今不意に思い出しました。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

なんかすごく嬉しい話ですね。

最後に、Podcastを始める方が今後増えていくと思うんですけども、これから始める方々に対して何かメッセージやアドバイスがあればお願いします。

武藤太郎
武藤太郎

僕らがリスナーとして聴いていただけの頃は、僕の中ではオガワブンゴさんっていうキャラクターがいて、もうパーソナリティーなんですよ。有名人に今日会っているみたいな感覚なんですね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

ありがとうございます(笑)。

武藤太郎
武藤太郎

実際、僕らが配信者側になってみると、僕らは普通の一般人で普通に今まで通り兄弟で会話してるだけなので、何かこのギャップが面白くて。もしPodcastを面白そうだな、やってみようかなって思ってる人も、有名人になるかもしれないから気構えなきゃというよりは、みんな同じように普段の生活の延長上で軽くやっているのかなと想像してます。

やりたいなと思ってる人がいたら、もう雑でいいから始めたらいいんじゃないかなと思います。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

拓郎さんはいかがですか。

武藤拓郎
武藤拓郎

話したいことがあれば録り始めればいいんじゃないかなって。本当にそんなとこです。

思ったより人って、自分の知ってることの差があるんですね。僕らが常識だと思っていたことって8割方知らない人が多い。Podcastを始めたい方も意外と表に出してみたら、初めて知りました、という答えが返ってくることって多分あると思うんです。僕らはいろんな挫折をしてきて、いろんなものを作ってきた中でPodcastにたどり着いて、これならいけるというので100回はやろうって決めました。ですので、あんまり最初から気構えずに、本当に出だしは何でもいいんじゃないかなって思ってます。音声って本当に音質さえ良ければいいので、音質が良ければと言っても僕が使っているマイクも1000円ですし、本当にちゃんと作る意思があれば、何とかなるって思います。なので、皆さんも気軽に始めてもらったら良いんじゃないかなって思います。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

本当にそうですよね。首がもげるんじゃないかっていうくらい頷いてますけど、楽しいお話を聞かせしていただき、ありがとうございます。

今回は「食を面白く学ぶたべものラジオ」を配信している掛茶料理むとうの武藤太郎さんと武藤拓郎さんにお話を伺いました。

太郎さん、拓郎さん、ありがとうございました。

武藤太郎
武藤太郎

ありがとうございました。

武藤拓郎
武藤拓郎

ありがとうございました。