和樂web セバスチャン高木 (Part.2)


和樂web

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オガワブンゴ
オガワブンゴ

ここからは後半になりますけども、普段高木さんはどのような収録環境だったり、機材っていうのは何を使ってらっしゃるんですか?

高木
高木

今と一緒です。Zoomでオンラインでやりとりしながら、ボイスメモで、結局はスマホの録音機能が一番使いやすいなと。いろいろ試してみたんですけど。例えばマイク使ったりとかすると、やっぱりこの僕の部屋じゃ無理なんですよ。音拾いすぎて、雑音ばっかりになっちゃって。そうするともうスマホで自分の声だけ取って、後から相手の声とガッチャンコするっていう収録方法が一番楽ですよね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

ベースはオンラインでやっているっていう意味ですね?

高木
高木

ほぼほぼオンラインですね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

僕もほとんどそうなんですけども、実は今日いろいろ試してまして。

高木
高木

僕それ知りたかったんですよ。
何が必要なのかな?って。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

コロナ前とコロナ後で全然違うと思っていて。
コロナ前は、僕はZOOMさんのこのWebのZoomじゃなくて、機材のZOOMさんの「ZOOM H6」っていうのを使っていたんですよ。その前はパソコンにオーディオインターフェースを付けて、リハーサルスタジオに行って、収録してたんですけど、だんだん面倒くさくなってきたのと、接続面が多いと、ちょっとした振動で抜けたりとかっていうことが多いので、あとはちょっと重いし、機動力が凄く無くなっちゃうなということで、僕はずっと「ZOOM H6」を使っていて、マイクは「SHURE SM58」ですね、ダイナミックマイクですけどこれを使っています。

高木
高木

オガワさんって今、外からの音ってどれぐらい入るような環境にいるんですか?

オガワブンゴ
オガワブンゴ

僕、自宅なんですけども、実は隣の家が建築中でガンガンやってたのを、この収録の時間はやめてってさっき言いに行って、止まってるんですけど、やっぱり救急車とか鳥の鳴き声とかは入りますよね。1軒家だからどうしても入っちゃうので、しょうがないなって思ってます。

高木
高木

だからさっきの話に繋がっちゃうと思うんですけども、音に対しても完璧さを求めると「あ、鳥の声入っちゃった」とか、「救急車来た」みたいな、最近それ全然気にならなくなりましたね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

あまり、気にしすぎちゃうと、(救急車の音とか)収録の時にめちゃめっちゃ(外部からの音)近いのであれば、ちょっと止めた方がいいですけども、あまり気にならないようであれば、そのまま流していっちゃった方がいいかと思います。

高木
高木

だから、よく「現場から中継しています!」みたいなのがあると思うんですけど、もうそんなんでいいやって思いだして、そっちに気をとられちゃうと、むしろ話してる内容とかコンテンツがおろそかになっちゃうんで。むしろ聞いている方にとってはあんまりそんなの関係ないんじゃないかなって無理矢理思うようにしています。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

ただ1個だけ、救急車のときは止めてくれって言われたことあります。
リスナーの方が車を運転してたとき、「ピーポーピーポー」と聴こえた場合、これは「自分の背後からの音」なのか「Podcastからの音」なのかちょっと迷う。こういったことを指摘していただいて、「確かにな」って思ったことあります。

高木
高木

Podcastって、そういうようなルールがまとまっている場所ってあるんですか?

オガワブンゴ
オガワブンゴ

ないですね。

高木
高木

やっぱりまだこれからってことですね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

これからですね、正確に言うとちょこちょこあるかもわかんないですけども、やっぱりプラットフォームによって、Apple PodcastsとかSpotifyとか、popIn Waveもそうですけど、やっぱりそれぞれのルールがあると思うんですけども、Apple Podcastsだったら結局RSSで他のところにどんどん流れていく形になっているので、あまりシビアなものはないかなと。ただ、18禁って言うのかな?そういったものは表示というか、これを押してくださいみたいなのはありますね。

高木
高木

そういうのもできてくるんでしょうね、今後。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

だから難しいですよね。
そういうのができてきちゃうと面白さが半減してしまうかもしれないし、でも配信側とか配信プラットフォーム側からするとそういうのがないと何でもあり状態になってきちゃうっていうのも事実だと思うので、そこの選別はちょっと難しい。

高木
高木

僕はもう結構な年齢なので、テレビがめちゃくちゃだった時代知っていますから、いつも「あの時代のテレビって面白かったな」って思っているんですけど、あの時代のテレビの面白さを今持ってるのって、AbemaTVぐらいで。
話ちょっとずれちゃいますけど、千鳥さんが地上波でやる番組とAbemaTVでやる番組って全然違うんですよ。メディアリテラシーみたいなものがすごく高いなって思っていて、そうなるとそのPodcast向けのコンテンツに対するリテラシーって、今後ますます成熟していくと思うので、だからさっき言ったように「台本はない方がいいんじゃないか」とか、そういうこともいろいろ考えてやっていきたいなと思ってます。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

僕らはまだまだ夜明け前状態のときにやっている人間だと思うので、色々そういうのを試しながら引き出しを増やしていくっていう作業を今してるっていう感覚なのかなって思います。

高木
高木

あとはPodcastの悩みって、オーディエンスにどうやって見つけてもらうんだっていうのがやっぱり一番大きいですよね。
やっぱりそこがpopIn Waveさんは強くて、いろんなメディアが連携ですよね。他のメディアに自分の音声コンテンツを流してもらったりとか、あちら側の音声コンテンツをこっちで流すとか、popIn Discoveryっていうシステム使ってトラフィックを稼いでくれるので、それは素晴らしいなっていうふうに思ってます。
ただ、配信してどうやって見つけてもらうんだっていうのは、今後やられる方って皆さん悩むようなことですよね。
例えば今、我々YouTubeに参入できるかって言ったら、もうとんでもなくできないですよね。もうやっても意味がないっていうか、あまりに数が多すぎて。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

埋もれちゃいますよね。

高木
高木

太平洋で小舟を見つけてもらうような作業になっちゃうので、その点Podcastってまだそこまでは海にはなってないので、池ぐらいだと思うので、何とかコンテンツ黙々とあげていれば、もしかしたら拾ってもらうかもしれないような状況なので。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

僕がやっている「“MOOK STUDY”日本の歴史」って、ある日突然バーンと増えたんですよ。
なんでそうなったかがいまいちわからない。

高木
高木

我々もあるとき、下歌ってやってたんですよ。
「下ネタを和歌の5・7・5・7・7に合わせて詠む」みたいなのをやってたら、それが何かいきなり15万再生みたいな。それまで何千再生いけばいい方なやつですよ。
それがそこだけ15万再生いったら、そうするとそれからは割と聴いてもらえるようになったりするので。今オガワさんおっしゃっているように、「下歌、聞いてんだ、みんな」みたいな。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

何か一発なのか、何かポンッと跳ねるのがあると知ってもらう率は非常に高くなりますよね。

高木
高木

しかもそれ、メソッドがないので、結局何が当たるかわからない。そうすると、さっき言ったみたいに、番組を分けて、いろんなジャンルの方、いろんな方向性の番組を、とにかくコンテンツの本数を伸ばすしかないっていうような感じなので、今はコンテンツの量産体制に入ってます。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

それはPodcastを始めて、わかったことだったり気づいたことっていうことですね?

高木
高木

そうですね。最初は「何とか何とかのオールナイトニッポン」みたいに、1番組でいろんなジャンルが入っていて良いのかなと思ったんですけど、どうもPodcastはそうじゃなくて、割とニッチメディアだと思うので。
例えば、中には「もろみ」のことだけずっと話してるような番組もあるわけじゃないですか。でもそういうような人の方がロイヤリティの高いファンがついているだろうっていうふうになると、ちょっと日本文化とか日本というのはバクっとしすぎているので、もうちょっと番組のジャンルっていうのを特性化するっていうか、特化する必要があるというふうにはやってみて思いました。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

これは始める前には全く想定していなかったけど、やってみてわかったことですね。

高木
高木

正直もうタイトルとか雑誌名って逆にどうでもよくて、どれだけ特定のファンに当たるような内容を作って、逆にその内容からタイトル付けちゃうぐらいにしないと、我々のような雑誌の人間ってまず雑誌作って、雑誌の名前作って、それからコンテンツを作るっていう作業に入りますけど、それはちょっと違うなと思いました。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

その延長線上になると思うんですけども、高木さんがそう感じるPodcastの可能性っていうのはどういったことになりますか?

高木
高木

コンテンツ側が、もしかしたらプラットフォーマーに勝てるかもしれないなぁって。
例えばSNSであるとか、あるいは他のWeb系のメディアにしても、日本の場合、どう考えてもプラットフォーマーが優先になっちゃっていますよね。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

はい、なっています。

高木
高木

プラットフォームが全て支配していますけれども、ただPodcastみたいに参入障壁が低くて、いろんなジャンルのモノが求められて、しかも「ながら」で聴かれるチャンスがある場合、どれぐらいコンテンツを配信できるかによっては、そのプラットフォームの方を下に持っていけるんじゃないかなみたいなって思っていて。
これって我々コンテンツプロバイダーの悲願なわけなんですよ。
もうどこ行ってもヤフーであるとか、TikTokだとかそういうものも支配下に置かれてしまっているので、そうじゃなくて、コンテンツが優位に立てるようなものって、今さっきオガワさんがおっしゃってるようにPodcastってまだ黎明期なので、コンテンツがワーっていけば、コンテンツ優位のまま進んでいけるんじゃないかなってふうに思うんです。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

僕も実は感じています。
やっぱりコンテンツを持っている人が「強いんだぞ」って。言い方ちょっと変ですけども、それは凄く感じていて。やっぱりそこはすごく、「ポイントだな」なんて思ったりします。

高木
高木

だから、そう考えるとやっぱりコンテンツが全然足りないんですよ。ありとあらゆる層に刺さるようなコンテンツを作って初めてコンテンツ側が優位になると思うので、だから全社員Podcaster。Podcasterなんて言葉があるかどうかわかんないですけど。
なってほしいなって。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

わかりました。
何かすごく、興味深い話がたくさん伺えたんですけども、最後に、これからPodcastを始める人たちに何か高木さんからアドバイスというかメッセージがあればお願いします。

高木
高木

自分が作り込んじゃっているので、ちょっと自省の念を込めてなんですけど、もう本当に作り込まずに、最初お喋りするぐらいで始めていいんじゃないかな。むしろ、コンテンツの本数をガンガン増やしていく方が重要なんじゃないかなって思っています。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

ありがとうございました。
この和樂webさんの番組は、和樂web、平安ナイトクラブ、旅DEラジオ、HOKUSAI PORTAL、あと何かありますか?

高木
高木

あと、もう1番組がもうすぐ増える予定で、それは商品系のPodcastをやってみようかなと思ってます。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

和樂webさんはどちらかと言ったら、ラジオ局的な動きをちょっと今後していこうと?

高木
高木

メディアが放送局みたいなって、多数の番組を運営していくっていうのがPodcastにおける理想の形かなっていうふうに思ってます。

オガワブンゴ
オガワブンゴ

これをお聴きの皆さん、是非チェックしていただいて、日本文化をカジュアルにポップに聞いていただければなと思います。
今回は和樂webの編集長セバスチャン高木さんにお話を伺いしました。