聴くバレエ「みきぞーはそれでも踊りたい」
オーストリア・ザルツブルクの劇場で働くバレエダンサーです。「聴くバレエ」をコンセプトに、リハーサルや公演の様子、踊っていく中で感じる気持ちを配信中。現役バレエダンサーが歩む道の記録としてお楽しみください。
公式Twitter: @mikizoon
StnadFM:https://stand.fm/channels/5f4ad6216a9e5b17f7a4026a
《話す人》 みきぞー
普段みきぞーさんはどのような環境で収録されてますか?
自宅の物置ですね(笑)。防音材を壁に敷き詰めてやっています。
小さな自分の収録スタジオを作っているイメージですね。
そうです。
収録の時に何か気をつけていることってありますか?
マイクから距離が離れたり近づいたりすると声が聴こえにくくなってしまう時があるので、あまり動かないように気をつけています。
なるほど、マイクは固定してるからということですもんね。
上級者の方の場合、あまりそういうことを気にしなくても最後に帳尻合わせるかと思うんですが、そこまでの技術がないので、なるべく一度の収録で編集をしなくて済むように気をつけてます。
収録のとき、マイクは何を使われてますか?
マイクはRODE(ロード) のPodMic(ポッドマイク)です。
RODE(ロード) のPodMic(ポッドマイク)を使われている方、初めて聞きました(笑)。
このマイクはPodcastに特化したマイクで周囲の音をすごく拾いにくくて、今いるこの部屋には換気扇があるんです。実は停止の方法がわからなくてずっと回っているんですが、多分換気扇の音は入ってないんですよね。このマイクの目の前で喋ってることを拾ってくれるマイクですごく気に入ってます。
確かに動きすぎると自分の声が聞こえなくなっちゃいますね(笑)。
そうなんです(笑)。
最近はPodcast用のマイクがどんどん発売されているので非常に興味深いですね。編集ソフトは何か使われてますか?
ちょっとだけ切ったり繋げたりする程度の編集なんですが、AppleのGarageBandでやっています。
Appleのパソコンにデフォルトで入っている編集ソフトですね。
私はパソコンを持ってないのでiPadになります。オーディオインターフェイスにiPadを直接繋げて、iPadのGarageBandで編集しています。
今の話でiPadをオーディオインターフェイスに繋げてとか、なかなか出てこない単語ですよね。みきぞーさんは元々こういった収録周りの機材に詳しかったんですか?
YouTubeで勉強しました(笑)。
今っぽい(笑)。
あとは詳しい友達がいるので、その人に質問したりしました。ちなみにオーディオインターフェイスはRODE Caster Pro(ロードキャスタープロ)なんですけど、これもすごく気に入ってます。
「聴くバレエ みきぞーはそれでも踊りたい」を始めて、何かわかったことや気づいたことはありますか?
日々の中でいろんなことを気づきやすくなりました。常にアンテナを張っている状態、何かネタがないかなって思っている状態で生活しているので、まずこのアンテナがすごく広がったと感じています。あとは話しながら自分でも思ってもみなかった言葉がポンと出てきたり、こういうふうに思っていたんだということを自分で再発見してたり。喋ることで今日あったリハーサルの記憶を強めたり、あのときはあのように踊りたかったんだ、踊ればよかったんだっていうことに気づいたりしています。それで記憶も濃くなるし、終わった後で自分で聴いたりコメントやレターをいただいたりすることで考えを深めたりとか。Podcastをやっていく中で自分の思いがどんどん強くなってくる感じがして、日記としてすごい役立っていて、自分のバレエのキャリアのことずっと喋ってるので、自分のキャリアがすごく色濃くなってくような感じがしています。
みきぞーさんにとってポジティブに働いているということですね。
すごくポジティブに働いてます。あとは私の勤めているバレエ団はすごく小さくて、16人しか団員がいません。田舎の小さなバレエ団だけど、こうやって自分のことはもちろん周りのストーリーも含めてお話しているので、話すことによって自分たちは有名なバレエ団でもないし大きな会社でもないけれど、そこにある価値を再発見しました。こういう演目でこういう表現方法は自分たちしかやってないんだ、こういう思いで作品作ってるのは自分たちだけなんだということに気がついて、そういう意味でも自分にとって価値ができたというか、それがすごくありがたかったです。
あと単純にPodcastを配信するというだけではなく、そこに付随しているサービスも使用されてますが、これはみきぞーさんが自分でお探しになってやっているんですか?
探すというよりは、周りで音声配信をしている人たちやコミュニティ内での流行みたいのがあって、TwitterをやってみたりInstagramをやってみたりとかしていると思うんですけど、音声配信をしている〇〇さんがこれをやっているから自分もやってみようとか、そういう感じです。
例えばlit.link(リットリンク)を使ってますね。
そうですね。さっきも言ったように、Podcastをされている方って他のサービスや他のリンクを持ってることがすごく多いですよね。例えば、TwitterやInstagramをやってYouTubeをやって自分の音声配信のリンクもってなると、めちゃめちゃリンクがいっぱいになっちゃうと思うんです。それを一つのリンクにまとめることができるのがすごく便利だなあと思って使っています。
あとBitcoin Lightningって面白いなと。
私も専門家ではないので、ビットコインのことをすごく説明できるわけではないんですが、単純にインターネット時代のお金というのがすごく面白くて。私はザルツブルクで仕事をしていて、日本語で配信した場合、ほとんどの方が日本で聴いてくださってると思うんですけど、楽しかったよっていうのを伝えたいなとか、応援してるよっていうのを伝えたいなと思ったときに、ビットコインだと本当に少ない手数料で隣にいる人にこれで何か飲んでよみたいに、500円を渡す感覚で瞬時にお金をくれる。それを海越えてできるというのがすごく面白くて、今は全然私にとってはおもちゃみたいな感覚なんですけど、先日3000Satoshi(ビットコインにおける最小通貨単位)ぐらい匿名の方から送っていただきました。いくらかというと多分50セントぐらいなんですよね。でも何か新しい時代の新しいお金というだけですごい面白いので、そんなリンクを作ってみたりとかしてます。
みきぞーさんが感じるPodcastの可能性を教えていただけますか?
最初は日記感覚で始めたんですけれど、ちょうどコロナのことも重なったこともあり我々のバレエ団でオンライン配信を始めました。私もInstagramやTwitterに頻繁に自分の踊りのビデオを上げてみたりしてたんですけど、それをPodcastのリスナーの方が「初めてバレエを見ました」と言ってくれて。日本人のバレエダンサーって今世界中にいっぱいいて、伝説級になっているような日本人バレエダンサーの方もいる中で、その人たちのバレエではなく私のバレエが初めてなんだと。もしこのPodcastを聴いてもらってなかったらこのリスナーの方はバレエを見ないまま一生を終える可能性すらあったんだなと思ったときに、これってすごいことだなと思いました。
うんうん。
やっぱり自分がやっている仕事なので、バレエの認知を広めたいという思いはずっとあったんですけど、それにはまず自分の踊りを見てもらわなきゃいけないんだっていうことをずっと思っていました。ただ、そうではなくPodcastだったら、声だったら誰かの生活の隙間に入り込んでというか、耳から気づいてもらえて、興味を持ってもらえて、まずバレエ自体ではなくバレエにくっついてるいろんな人の思いや考えから感じ取ってもらって、「じゃあ見てみよう」って思ってくれるんだなと。我々がやっていることは視覚的アートで、一見視覚的アートと相性が合わなさそうではあるんですが、別のアプローチとしてそういうふうに興味を持ってもらえるというのがすごい可能性だなって思いました。
実体験だから今の言葉にすごく説得力がありますね。
やっぱりバレエって見るものじゃないですか。それを聴いてもらうことから始めてみる。本当に隙間に入り込むようなんですよね。皆さん何かしながら聴いてくれてると思うんですけど、そこから興味を持ってもらえるということが本当に衝撃でした。
最後になりますけども、これからPodcastを始める方に何かアドバイスやメッセージがあればお願いします。
Podcastや音声配信ってノウハウを説いたり、お役立ち情報を話したり、あるいは定期的だったり毎日配信したり、何かPodcastを伸ばす方法っていっぱいあると思うんですけど、あまりそこに囚われないで、自分に正直にやっていった方が楽しいかなと思います。それでPodcast自体が伸びなくても最低でも自分にとってはすごく有益な記録というものになるし、それで誰かが聴いてくれたらそこから生じる価値もあったり、自分でも気づかなかった価値とかもあったりするのですごく楽しい。ぜひやってみてほしいなと思います!
ぜひ直球のみきぞーさんを皆さん聴いていただきたいなと思います。
はい、よろしくお願いします。
今回は「聴くバレエ みきぞーはそれでも踊りたい」を配信しているみきぞーさんにお話を伺いました。みきぞーさん、ありがとうございました。
ありがとうございました。